Guide · 京都の文化

扇子のマナーと京扇子 — 茶席の結界の挨拶と京都の扇文化

扇子は涼をとる道具であると同時に、日本では礼儀や芸事を支える小道具でもあります。茶席では扇子を自分の前に置いてお辞儀をすることで、相手との間に「結界」を設け、敬意を表します。日本舞踊では舞扇が欠かせません。扇子発祥の地とされる京都では、扇面・扇骨・仕上げまで京都とその近郊で作る「京扇子」が伝統工芸として受け継がれています。この記事では扇子の作法と京扇子の文化を紹介します。

八坂神社(扇子のマナー・京扇子の関連スポット)
八坂神社(扇子のマナー・京扇子の関連スポット)

扇子は京都生まれの道具

扇子(折りたたみ式のあおぎ)は、平安時代の初め、京都で生まれたと考えられています。もとは筆記に使われた細い木の板(木簡)を綴じた「桧扇(ひおうぎ)」が起こりとされ、やがて紙を貼った扇へと発展しました。

京都は政治・文化の中心地として扇子産業が栄え、諸国へ卸されたほか、古くから海外へも輸出されました。日本で生まれた扇子は中国へも伝わり、世界に広がったといわれます。

茶席での扇子と「結界」の挨拶

茶道では、席入りや挨拶のときに扇子を自分の前(膝の前)に横に置いてお辞儀をします。これは、扇子を一本の線として自分と相手(あるいは大切な道具)の間に境界=「結界」を設け、相手を上座として敬う気持ちを表す所作とされます。

へりくだって敬意を示すための作法であり、扇子を実際にあおいで使うことはほとんどありません。茶席では扇子はあくまで礼を尽くすための小道具として扱われます。

舞扇など芸事の扇子

室町時代以降、香道・茶道・能・日本舞踊などの発展にともない、それぞれの用途に応じた扇子が作られるようになりました。日本舞踊で使う「舞扇(まいおうぎ)」は、要(かなめ)に重りを入れて投げたり回したりする所作にも耐えるよう作られています。

能や狂言で用いる扇、落語家が箸や筆などに見立てて使う扇など、芸能の世界では扇子が多彩な役割を担います。涼をとる実用品にとどまらない点が、日本の扇子文化の特徴です。

京扇子とは

京扇子とは、扇面・扇骨・仕上げ加工のすべてを京都および京都近郊の材料・職人によって仕立てた扇子をいい、国の伝統的工芸品に指定されています。主な産地は京都市のほか、宇治市・亀岡市など京都府内です。

京扇子は扇骨の数が多く折り幅が狭いため、開閉がなめらかで、閉じたときに美しく収まるのが特徴とされます。製造は上絵・扇面・扇骨など工程ごとに専門の職人が担う分業制で、多くの手を経て1本が仕上げられます。

扇子のマナー・京扇子に関するよくある質問

茶席で扇子を前に置くのはなぜですか?

扇子を自分と相手の間に置くことで「結界」を設け、相手を敬う気持ちを表すためです。へりくだった挨拶の所作で、実際にあおぐためではありません。

扇子はいつ・どこで生まれたのですか?

平安時代の初め、京都で生まれたと考えられています。筆記用の木簡を綴じた「桧扇」が起こりとされ、のちに紙を貼った扇へ発展しました。

京扇子とふつうの扇子は何が違いますか?

京扇子は扇面・扇骨・仕上げをすべて京都および近郊の材料と職人で仕立てたもので、国の伝統的工芸品に指定されています。工程ごとの分業で作られます。

舞扇とふだんの扇子は違いますか?

日本舞踊で使う舞扇は、要に重りを入れるなど、投げたり回したりする所作に耐えるよう作られており、装飾も華やかです。涼をとる実用扇とは作りが異なります。

京扇子はどこで買えますか?

京都市内には創業数百年の扇子専門店が複数あり、五条・烏丸など中心部に老舗が点在します。茶席用・舞扇・夏扇など用途に応じて選べます。

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