祇王寺(ぎおうじ)

祇王寺の秋

祇王寺の魅力

悲恋の尼寺は美しい庭園がある嵯峨野の穴場だった

もともとは法然上人の弟子念仏房良鎮が「往生院」を創立し、その一部が残って今の祇王寺にいたります。寺の名前の由来は、平安時代、平清盛の寵愛を受けていた女性・祇王(ぎおう)にちなんだもの。祇王の悲恋の物語が、そのままこの寺のお話となります。(悲恋といえば、嵯峨野には平家物語のもう一つの悲恋にちなんだ滝口寺もあります)以下は、おおざっぱな平家物語「祇王」のあらすじです。


京都で評判の白拍子(人前で踊りを踊る女性)だった祇王は、平清盛のお気に入りとなり寵愛を一身に受けます。清盛公のおかげで実家は裕福になり、妹の祇女もなにかともてはやされたりと、たいへん贅沢な暮らしをしていました。
そんな暮らしが3年ほど続いたある日、16歳の仏という名の白拍子が現れます。仏は若くてかわいくて、おまけに歌も踊りもうまかったので、清盛公はあっというまに仏のとりこに。仏は最初、祇王に遠慮して清盛公から離れようとしますが、これがかえってあだとなり、清盛公は「祇王のせいで仏を可愛がれないなら、祇王を追い出しちゃおう!」と考え、祇王に「お前とっとと失せろや」と命令。祇王は、(いつかこんな日が来るだろうと思いつつも、まさかこんな風にだなんて‥‥)と、深い悲しみに暮れ、母と妹ともに仏門に入ることに決めます。

萌え出づるも 枯るるも同じ 野辺の草 いづれか秋に あはで果つべき(平家物語)


そうして3人の女性は往生院の一角の草庵に移り住みました。時代とともに往生院はなくなり草庵も荒れ果てていましたが、平安物語の遺跡として明治時代に復興され今に至ります。

祇王寺の見どころは苔むした美しい庭

そもそもが庵(小さくて粗末な家)なので、建物自体はとても小さいです。そこに、祇王、祇女、二人の母である刀自、そして仏御前(仏のこと)の木像が安置されています。なぜ仏までここにいるのかというと、仏はしばらく清盛公の寵愛を受けたのち、出家して祇王寺に入り、女性4人で仏門に励んだからです。ちなみに平清盛の木像もあります。憎き男のはずなのになぜだろうか……。

見所は一面の苔に覆われた苔庭の竹林!楓も多くあり、秋は紅葉が見ものです。
ですが個人的には、春〜夏、前の日に雨が降った新緑の苔庭が最高に美しいと思います。ここは奥嵯峨ですし、祇王寺はそこまでメジャーでもないので観光客はあまりいないのですが、だからこそ静かに美しい庭が楽しめます。あまり人に教えたくない、穴場といえるのではないかと。

祇王寺の苔庭
苔庭は雨の日も綺麗

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祇王寺の詳細情報、拝観時間、拝観料

 

住所:京都府京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32
電話番号:075-861-3574
拝観時間/営業時間:9:00-16:30(受付)
拝観料・料金:300円

祇王寺への行き方:

電車でアクセス

:JR嵯峨野線「嵯峨嵐山駅」から徒歩20分
:京福電鉄「嵐山駅」から徒歩20分

バスでアクセス

:市営11番「嵯峨小学校前」から徒歩17分
:市営91番「嵯峨釈迦堂前」から徒歩15分
:市営28番「嵯峨釈迦堂前」から徒歩15分

駐車場

:専用あり(無料)台数は少ないです

地図